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雄英美装のブログ

はじめに
住宅や賃貸物件の掃除を外注しようと思ったとき、まず「ハウスクリーニング」と呼ばれるサービスを思い浮かべる方は多いでしょう。一方で、建築現場や竣工直後、リフォーム後の仕上げ段階で行われる「建築美装」という専門的な清掃は、まだ広く知られているとは言えません。
建築美装は、物件の入退居時や新築物件の引き渡し前の仕上げ清掃として、ハウスクリーニングと同様に欠かせない重要な工程です。しかし、ハウスクリーニングと建築美装と呼ばれる施工後特有の清掃の違いを正しく理解している方はまだまだ少ないのが現状です。
本記事では、両者の作業範囲や得意分野の違いを解説するとともに、業者を選ぶときに知っておきたいポイントを詳しくご紹介します。工事直後の仕上げや、管理する物件の清掃業務の依頼の際にご活用ください。
1. そもそも何が違う?ハウスクリーニングと建築美装
ハウスクリーニングとは
ハウスクリーニングは、「居住中の生活汚れ」「退去後に残った油汚れや水垢、カビ」を専門的な技術で洗浄・除去するサービスです。在宅中のキッチン換気扇・レンジフードの分解清掃、浴室やトイレの水垢・カビ落とし、エアコン内部のカビ取りなどが主な作業となります。
- 主な清掃対象
キッチン周り(コンロ・換気扇)、浴室、トイレ、エアコン内部、床のワックスがけ、窓ガラス
- どんなときに依頼する?
賃貸物件の入退去時の原状回復、入居中の水回りやエアコンの清掃など
賃貸物件の入退去時の原状回復清掃として実施されることが多く、主に台所の油汚れやタバコのヤニ、洗面台や浴槽の水垢・カビ・黒ずみなど「日常生活で蓄積した汚れ」の除去を目的に実施されます。
建築美装とは
建築美装は新築・リフォーム工事直後の仕上げ清掃を指します。建築美装業者は、ハウスクリーニング業が行う清掃業務に加え、建築現場特有の「ペンキや接着剤の跡」「養生テープの糊」「粉塵」など施工由来の汚れを除去することができます。完成直後の物件を一から隅々まで仕上げることで、物件本来の魅力を最大限に引き出すのが建築美装の役割です。
- 主な清掃対象
ペンキ飛散・塗料の拭き取り、糊跡・養生テープ残り、床材や壁紙についた工事由来の粉塵や油汚れ
- どんなときに依頼する?
新築物件の引き渡し前、リフォーム完了直後の仕上げ、竣工後の最終清掃
建築美装を行う作業者は、床材を傷つけないペンキ用洗剤の選定や、壁紙の糊跡をベタつきなく消す技術など、一般的なハウスクリーニングでは扱わない資材の性質や工事由来の汚れに関するノウハウが必要となります。
2. 作業内容の具体的な違い
ハウスクリーニングと建築美装は、どちらも清掃を行う点では共通していますが、その作業内容や求められる技術には明確な違いがあります。ここでは、それぞれの代表的な作業を具体的に見ながら、清掃の目的や対象の違いを解説します。
ハウスクリーニングの代表的な作業
- キッチン周りの油汚れ落とし
換気扇やコンロ下の引き出しなど、油煙が溜まりやすい部分を分解して洗浄。
- 浴室や洗面台の水垢・カビ除去
シャワーヘッド、タイルの目地、ゴムパッキンに生えるカビを特殊洗剤で落とし、黒ずみを解消。
- エアコンクリーニング
内部のファンや熱交換器に付着したカビ・ホコリを分解洗浄し、臭気やアレルギーの原因を除去。
建築美装の代表的な作業
- 施工直後のペンキ・糊跡・モルタル片の除去
建築やリフォーム後、床や壁・サッシなどに飛び散った塗料や、貼り付けた養生テープの糊跡を専門技術で落とす。 - 粉塵・研磨カスの清掃
新築・改装作業で大量に生じる粉塵や切断くずを丁寧に除去し、最終引き渡し前の仕上げとして床・壁・天井をクリアな状態にする。 - 仕上げ磨き・光沢復元
タイルや石材、ステンレスパーツなどを磨き上げ、本来の光沢を引き出す。
ハウスクリーニング、建築美装ともに専門的な技術を要する業務ですが、特に建築美装では、洗浄薬剤の選定を誤ると壁や床の素材を傷つけてしまうことがあり、素材ごとに適切な処置を見極める判断力と、繊細な技術が求められます。
3. それぞれの専門業者に依頼するメリット
賃貸物件やリフォーム現場の清掃には、ハウスクリーニングと建築美装それぞれの専門分野があります。工事汚れと生活汚れを切り分けて作業を振り分ければ、さまざまなメリットが期待できます。
メリット1:コストパフォーマンスを高められる
ハウスクリーニング業者と建築美装業者の得意分野に合わせて分けて依頼することで、全体の品質を高めながら、不要なオプションを省けるため、全体のコストが抑えられます。
ペンキ跡、糊跡などの除去は建築美装業者に、キッチン・浴室の油汚れやカビなどはハウスクリーニング業者に任せるといった清掃内容に合わせた依頼を意識しましょう。
メリット2:現場の状況に応じた柔軟な対応がしやすい
作業内容をあらかじめ分けておくことで、それぞれの清掃に必要な人員・機材・工程を調整しやすくなり、作業内容やスケジュールの変更にも柔軟に対応できる体制を整えやすくなります。
たとえば、リフォーム現場で工事が長引いた場合でも、工事汚れと生活汚れの清掃を分けて依頼していれば、スケジュールの再調整がしやすく、全体の段取りに柔軟性が生まれます。
それぞれの違いを知っておくメリット
賃貸オーナーや管理会社にとって、退去後のハウスクリーニングは馴染み深いものですが、「建築美装業者」にはあまり馴染みがないという方も少なくありません。
一方、工務店やリフォーム会社にとっては、引き渡し前の仕上げを建築美装業者に依頼するのが一般的で、逆に「ハウスクリーニング業者を利用する機会は少ない」と感じている方が多いようです。
両者の違いや得意分野を正しく理解することで、例えば「工事による汚れは建築美装、長年蓄積された水回りの汚れはハウスクリーニング」といった依頼先の最適な選択が可能になり、費用面・品質面の両方でメリットが得られます。

4.ハウスクリーニングと建築美装を一括で依頼するという選択肢も
ハウスクリーニングと建築美装は、本来それぞれ異なる専門分野であり、清掃対象となる汚れや使用する技術にも違いがあります。しかし近年では、両方の技術に精通した業者や職人が増えてきています。
ハウスクリーニングと建築美装の両方に対応できる業者に依頼すれば、工事汚れと生活汚れが混在する現場でも、スムーズに清掃業務を進めることが出来ます。
予算の都合で複数業者への依頼が厳しい場合や、納期が短い場合に大きな助けになるでしょう。
ハウスクリーニングと建築美装を一括で依頼するメリット
- 高い技術力で高品質で効率的な清掃が可能
一括対応の業者は清掃に関する幅広いノウハウを持っており、ペンキやモルタル、糊の跡といった工事由来の汚れへの対応はもちろん、キッチンや浴室のカビ・油汚れといった生活汚れも短時間でしっかり落とせる効率的で質の高い技術力があります。 - スケジュール管理やコストの負担を軽減できる
建築美装とハウスクリーニングを別々の業者に依頼する場合、作業日程の調整に手間がかかりがちです。一括対応の業者であれば、スケジュール調整がスムーズな上、見積もりも一社で済み、やりとりの手間も抑えやすくなります。
ただし、一括対応型の業者にも対応できる範囲や専門性には差があるため、依頼する際は「どの作業まで対応可能か」「どこまで仕上がりを求めるか」など、事前にしっかり確認しておくようにしましょう。
5. まとめ:ハウスクリーニングと建築美装の違いを知り、目的に合わせて正しく使い分けよう
ハウスクリーニングと建築美装は、どちらも専門的な清掃サービスですが、それぞれに得意とする汚れの種類や利用されるシーンに違いがあります。それぞれの違いを正しく理解し、適切に依頼することで仕上がりの質も大きく変わってきます。
また、近年増えているハウスクリーニングと建築美装の両方に対応できる美装職人や業者に依頼することで、より効率的に作業を完了させることができるケースもあります。
ご自身の目的に合わせて、清掃をどこに、どのように依頼するかを意識して、最適なパートナー業者を検討してみてください。
「この汚れ、どこに頼めばいいの?」とお困りの時は、私たちにお任せください。
建築美装のプロとして、賃貸物件の入退去時の原状回復清掃から新築・リフォーム工事直後の仕上げ清掃まで、現場の状況に合わせた柔軟な対応が可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。